Bamboo Glocal Villageワークショップ in フィリピン (JP only)

トヨタ財団の助成を受けて、2017年6月28日から7月7日に、フィリピン、コーディエラ地方のバギオ及び、 カリンガ州パシル市マグシーライ村において、竹を軸としたモジュール制作ワークショップとプロト タイプモジュールの実施を行った。4月に高知県土佐山で実施したモジュール制作ワーク ショップに引き続き、今回はフィリピンを訪問し、現地の竹文化を学び、両国の現状や課題を理解 した上で、実際に具体的なモジュールを作り、プロトタイプを試み、モジュールのマニュア ルを作成することを主な目的とした。

 

【モジュール構築】

1.導入・ガイドラインの作成
前回土佐山で実施したワークショップからの流れと今回のゴールを共有し、フィリピンで行うワークショップでは、カリンガ族を中心とした竹文化の把握、モジュール構築、ワークショップのプロトタイプを農村で実施することを主なタスクとした。
初めに、モジュールのアイディアを選別してくためのガイドラインを設定することから始めた。フィリ ピン人チーム、日本人チームに分かれて、ガイドラインに必要な条件を10個づつ上げ、グルーピン グ、優先順位付け等の取捨選択を行い、最終的に16個のガイドライン項目を決定した。

2.モジュールのアイディア出し

各個人が1-2個のモジュールアイディアを出し、アイディアスケッチにまとめる。アイディアスケッ チの必要項目は、タイトルと5W1H(Why, What,When,Whom,How)とし、A4用紙に書き込む。次に、作 成したアイディアスケッチをホワイトボードに張り出し、全員が一つひとつを読んで、ホワイトボード へ質問を貼り付けた。その後、質問に答える形で、各アイディアスケッチをブラッシュアップ。最終 的に8つのアイディアスケッチが出来上がった。

3.モジュールのアイディアスケッチの評価

前に決定したガイドライン項目に基づき、8つのアイディアを5段階で評価する。また、直観的に 良いと思ったアイディアを各自1つ投票する。こうして、直感的判断・論理的判断の両方に基づい て、アイディアスケッチを評価した。投票は、その場で集計・発表された。

4.モジュールの決定と文章化

アイディアスケッチの投票結果を基に、モジュールのアイディアを Culture BOX とGlobal Village of Bamboo Housesの二つに決定。この二つのアイディアを融合させるか、一つに絞るのかを議論し た。結論として、Culture BOXのコンセプトをプロジェクトチームのステイトメントとして文章化し、 Village of Bamboo Housesをモジュールとして採用することを決定した。

 

5.プロトタイプモジュールの企画

今回、カリンガ地方のマグシーライ村で実施するプロトタイプモジュールでは、竹のミニチュアハウスワークショッ プにおいて、フィリ ピン人の国民性やモチベーション等を考慮し、コンテスト方式とすることに決定した。採点については、 バイアスがかからないよう、外部者(日本人、アメリカ人、カリンガ関係者でないフィリピン人メンバー) 7名で行ことに決定した。

6.モジュールマニュアルの作成

世界のどの地域でも実施できるモジュールとなるよう、内容、様式等を検討し、文章化を進めた。
モジュールのタイトルは、もともとVillage of Bamboo Housesであったが、改めてアイディアを全員で 付箋に書き出して議論した。最終的にGlocal Bamboo Villageに決定した。

 

【カリンガ州へ移動~パシル市バレンシアガオ村を見学・滞在】
早朝4時、まだ暗いうちに車でバギオを出発した。山岳地帯の舗装された 道路をひたすら走る。このあたりは、第二次世界大戦末期の日本軍が戦い、最後追 い込まれていった地域であるという。70年以上たった今は、美しく平和な山の風景が広がって いた。
途中、世界遺産、マリコンの棚田を見学する。これだけの広大な棚 田を作り、受け継いでいる人々の知恵と労力は計り知れない。人と自然の共存の象徴のような 棚田の風景は、心を和ませる日本の田舎の風景と似ていた。
その後、山と渓谷の早大な景色を眺めながら車を走らせ、夕方4時頃、カリンガ州パシル市バ レンシアガオ村に到着する。山の斜 面に建つ家々の間に、大きなヤシの木やマンゴー、バナナの木等があり、南国の豊かな自然 環境がそこにあった。

 

【プロトタイプ準備・実施】
プロトタイプでは、地域の学生58名、地域の長老9名の合計 67名が参加した。当日は、オリエンテーション、アイスブレイクに続き、長老に竹の家や竹の使われ方等、竹にまつわる話を全体で共有してもらった。その後、各グループに長老が1名づつ入る形 でグループ編成し、どのような竹のミニチュアハウスを作るのかを話し合ってもらった。必要な竹を 集落周辺から採取するところで、午前の部が終了した。


午後は3時間ほどかけてミニチュアハウスを作成した。実際に竹の家を作ったことのない学生が 多いように見受けたが、竹を切ったり、裂いたり、加工することには慣れているようで、道具の使い 方が巧みだった。

多くののグループが長老に習う形で伝統的な竹の家のミニチュアを作成した為、 独創的な家は少ないように思えた。最後に各グループの代表者が作成したミニチュアハウスを全 体の前で発表した。6名の審査員はその発表を見て、審査基準(独創性、創造性と芸術性、文化と の繋がり、素材、作業における効率性・リーダシップとチームワーク、全体の印象)を基に採点し、 集計した。
結果はその場で発表され、1位から3位には景品を贈呈した。全員に鶴の折り紙が贈呈され、入賞しなかったチームには、おせんべいを贈呈した。

 

 

【振り返りセッション】

モジュールマニュアル内容のブラッシュアップを行うと共に、モジュールタイトルをGlocal Bamboo Villageから Bamboo Glocal Villageへ変更した。また、ワークショップの目的の部分を再 度編集。伝統的知識と新しい創造性の両方を含んだミニチュアハウスを作成してもらうために 「どんな家をつくるか」表現を検討、アイディアを上げた。最後に、今後プロジェクト終了までにす べき事柄(モジュールマニュアルの作成やHPの立ち上げ、報告書作成等)を整理し役割分担し た。

 

このワークショップの様子をインターンのジョニーが編集しました。とても分かりやすく表現されているので、ぜひご覧になってください。

 

今回のワークショップにはトヨタ財団の方も同行しており、プロジェクトの様子を財団のHPで報告して下さっています。

助成対象プロジェクトによるフィリピンでのワークショップに同行しました(国際助成プログラム)

 

今回のフィリピン、カリンガ訪問レポートは下記リンクよりご覧いただけます。

2016年度カリンガWS報告書

本プロジェクトは、2016年度のトヨタ財団の助成を受けて実施しています。プロジェクトの紹介ページはこちらから。

「日本やフィリピンの地方の生活様式や伝統文化の価値の再発見のための『竹』を軸としたワークショップマニュアルの制作と実践」

EDAYA で実施しているワークショップについては、こちらのサイトからご覧いただけます。ワークショップの依頼もお受けしています。

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